当所では、毎年２回、当所会員事業所（金融保険業等を除く）を対象に景況調査を実施しています。
このほど2019年上期（1月～6月）の景況調査結果をまとめましたのでご報告いたします。
調査の概要
- 対象事業所数（金融保険業等を除く当所会員） 1,743社
- 回答事業所数 502社（回答率28.8％）
（内訳）製造業：157社 建設業：81社 卸売業：46社 小売業：73社 飲食業：21社 サービス業：90社 交通運輸業：15社 その他：18社 無記入：1社 - 調査期間 2019年6月25日～2019年7月12日 郵送によるアンケート方式
※ 語句の説明
ＤＩ値（景気判断指数）とは、売上・採算・業況などの項目についての判断の状況を表します。ゼロを基準としてプラスの値で景気の上向き傾向を表す回答が多いことを示し、マイナスの値で景気の下向き傾向を表す回答が多いことを示します。
調査結果
景気の現状
～景気の現状は悪化、先行も厳しい見方～
景気の現状について、「良い・やや良い」との回答が18.1％、「やや悪い・悪い」が41.6%で現状判断ＤＩ値は▲23.5となった。
前期調査（▲11.1）から悪化となった。前期調査時の今後の景況見通しＤＩ値は▲20.4であったため、見通しより3.1ポイント下回る結果となった。
今後の見通し
今後の見通しについては「良い・やや良い」との回答が10.8%、「やや悪い・悪い」が46.2%で、景気の見通しＤＩ値▲35.4と現状のDI値▲23.5と比較し11.9ポイント悪化の予想であり、先行きに対して厳しい見方が広がっている。
業種別の景気の現状
業種別の景気の現状については、DI値は建設業が0.1（前期▲15.2）とプラス水準を維持したほか、飲食業が▲19.0（前期▲47.0）とマイナス水準ながら改善している。一方で、製造業が▲31.8（前期▲6.9）、卸売業が▲32.5（前期▲13.1）、小売業が▲37.0（前期▲31.7）、サービス業が▲13.4（前期▲12.4）、交通運輸業▲33.3（前期▲30.0）と悪化している状況である。
売上・利益状況
売上状況については「増加・やや増加」との回答が19.7％（前期26.9％）、「変わらない」が37.5％（前期35.3％）、「減少・やや減少」が42.6％（前期37.1％）で売上状況ＤＩ値は▲22.9（前期▲10.2）となり、前期調査と比べると12.7ポイントの悪化となった。
利益状況については「増加・やや増加」との回答が17.1％（前期23.0％）、「変わらない」が36.5％（前期38.0％）、「減少・やや減少」が46.0％（前期38.6％）で利益状況ＤＩ値は▲28.9（前期▲15.6）となり、前期調査と比べると13.3ポイントの悪化となった。
今回の調査では売上、利益状況ともに悪化傾向となった。
資金繰り・設備投資の現状
資金繰りの現状についてはＤＩ値をみると▲11.1であり、前回の▲8.5から2.6ポイント悪化している。また、資金繰りの見通しについてのＤＩ値は▲16.5であり、現状より悪化する見通しである。
設備投資の実績については「行なった」が21.7％、「行なっていない」が76.5％となっている。また、今後の設備投資については「予定あり」が20.5％、「予定なし」が73.5％となっている。
経営上困っている問題（３項目選択）
経営上困っている問題については、「売上・受注の停滞減少」が39.6％（前期34.6％）と上昇し、「人手不足」35.7％（前期37.1％）を上回り第1位となった。第3位は「人材育成」が23.5％（前期25.3％）となり、引き続き上位となっている。
業種別に見ても、製造業やサービス業で「売上・受注の停滞減少」が「人手不足」を上回る結果となっており、「売上・受注の停滞減少」が顕在化する結果となった。
総評
景気の現状を示すＤＩ値は大幅な悪化となった。業種別の現状や売上・利益状況などからみても前期と比較して悪化している。景気の先行きに関しても、現状のＤＩ値と比較して11.9ポイントの業況悪化を見通しているほか、売上見通しについても▲34.6％（前期▲18.3％）と大幅に悪化を見込むなど、今後の業況見通しについて厳しく見ているものと考えられる。
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