当所では、毎年2回、当所会員事業所(金融保険業等を除く)を対象に景況調査を実施しています。
このほど平成29年下期(7月~12月)の景況調査結果をまとめましたのでご報告いたします。
調査の概要
- 対象事業所数(金融保険業等を除く当所会員) 1,823社
- 回答事業所数 476社(回答率26.1%)
(内訳)製造業:135社 建設業:73社 卸売業:49社 小売業:78社 飲食業:18社 サービス業:95社 交通運輸業:14社 その他:14社 - 調査期間 平成29年12月20日~平成30年1月16日 郵送によるアンケート方式
※ 語句の説明
DI値(景気判断指数)とは、売上・採算・業況などの項目についての判断の状況を表します。ゼロを基準としてプラスの値で景気の上向き傾向を表す回答が多いことを示し、マイナスの値で景気の下向き傾向を表す回答が多いことを示します。
調査結果
景気の現状
~景気は3期連続の改善傾向に~
景気の現状について、「良い・やや良い」との回答が26.5%、「やや悪い・悪い」が32.0%で現状判断DI値は▲5.5となった。
前期調査(▲10.8)と比べると5.3ポイントの改善となり、3期連続の改善傾向となった。前期調査時の今後の景況見通しDI値は▲15.8であったため、見通しより10.3ポイント上回る結果となった。
今後の見通し
今後の見通しについては「良い・やや良い」との回答が22.7%、「やや悪い・悪い」が27.3%で、景気の見通しDI値は現状のDI値▲5.5と比較し▲4.6と緩やかながらも景気は改善するとの予想である。
業種別の景気の現状
業種別の景気の現状については、業種により傾向が分かれる結果となった。DI値は製造業が4.4(前期▲13.2)、サービス業が7.4(前期▲5.6)とプラス水準に転じたほか、交通運輸業が▲7.1(前期▲23.6)と改善傾向となった。
一方で、卸売業が▲4.1(前期2.2)がマイナス水準に転じたほか、建設業が2.7(前期6.6)、小売業も▲32.5(前期▲40.3)、飲食業が▲33.3(前期▲4.7)と悪化している状況である。
売上・利益状況
売上状況については「増加・やや増加」との回答が30.7%(前期25.3%)、「変わらない」が35.5%(前期36.2%)、「減少・やや減少」が33.6%(前期38.0%)で売上状況DI値は▲2.9(前期▲12.7)となり、前期調査と比べると9.8ポイントのプラスと改善となった。
利益状況については「増加・やや増加」との回答が24.6%(前期22.1%)、「変わらない」が39.7%(前期39.8%)、「減少・やや減少」が35.7%(前期37.4%)で利益状況DI値は▲11.1(前期▲15.3)となり、前期調査と比べると4.2ポイントの改善となった。
今回の調査では前期に続いて売上、利益状況ともに依然としてマイナス圏であるものの改善傾向となった。
資金繰り・設備投資の現状
資金繰りの現状についてはDI値をみると▲0.9であり、前回の▲3.9から3.0ポイント改善している。また、資金繰りの見通しについてのDI値は▲4.0であり、現状よりは悪化する見通しである。
設備投資の実績については「行なった」が21.4%、「行なっていない」が75.2%となっている。また、今後の設備投資については「予定あり」が20.0%、「予定なし」が74.2%となっている。
経営上困っている問題(3項目選択)
経営上困っている問題については、「人手不足」との回答が38.0%(前期33.8%)と上昇し、「売上・受注の停滞減少」34.7%(前期37.1%)との回答を上回り第1位となった。第3位は「人材育成」が25.6%(前期24.0%)となり、人材の確保が引き続き大きな課題となっている。
業種別に見ても「人手不足」との回答が「建設業」「飲食業」「サービス業」「交通運輸業」の4業種で第1位となったほか、「製造業」「小売業」でも第2位となっており、業種を問わず人手不足感が強まっている。
一方で「設備・店舗の狭小老朽化」の回答が20.8%(前期18.9%)と4位に上昇しており、設備面での課題も顕在化している。
総評
景気の現状を示すDI値は上昇傾向を示し、3期連続で改善する結果となった。
業種別の現状や売上・利益状況などからもマイナス圏ながらも全体的に改善傾向が続いている。
一方、DI値がプラス水準の業種においても、「人手不足」が更に深刻化しているため、機会損失などが見込まれる状況になっている。人件費や諸経費の増加などの課題も増加しており、景気の先行きについては改善傾向ながらも横ばいに近い水準を見込むなど、慎重な見方が続いている。
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