当所では、毎年2回、当所会員事業所(金融保険業等を除く)を対象に景況調査を実施しています。
このほど平成30年上期(1月~6月)の景況調査結果をまとめましたのでご報告いたします。
調査の概要
- 対象事業所数(金融保険業等を除く当所会員) 1,790社
- 回答事業所数 459社(回答率25.6%)
(内訳)製造業:133社 建設業:76社 卸売業:41社 小売業:73社 飲食業:18社 サービス業:97社 交通運輸業:12社 その他:9社 - 調査期間 平成30年6月26日~7月13日 郵送によるアンケート方式
※ 語句の説明
DI値(景気判断指数)とは、売上・採算・業況などの項目についての判断の状況を表します。ゼロを基準としてプラスの値で景気の上向き傾向を表す回答が多いことを示し、マイナスの値で景気の下向き傾向を表す回答が多いことを示します。
調査結果
景気の現状
~景気は3期ぶりに悪化傾向に~
景気の現状について、「良い・やや良い」との回答が23.1%、「やや悪い・悪い」が35.1%で現状判断DI値は▲12.0となった。
前期調査(▲5.5)と比べると6.5ポイントの悪化となり、3期ぶりに悪化傾向となった。前期調査時の今後の景況見通しDI値は▲4.6であったため、見通しより7.4ポイント下回る結果となった。
今後の見通し
今後の見通しについては「良い・やや良い」との回答が18.5%、「やや悪い・悪い」が34.3%で、景気の見通しDI値▲15.8と現状のDI値▲12.0と比較し3.8ポイント悪化の予想であり、先行きに対して慎重な見方が広がっている。
業種別の景気の現状
業種別の景気の現状については、ほとんどの業種で悪化する結果となった。DI値は小売業が▲34.2(前期▲37.1)と改善傾向となったほか、製造業が3.7(前期4.4)と悪化傾向であるもののプラス水準を維持した。
一方で、建設業が▲4.0(前期2.7)、サービス業が▲8.3(前期7.4)とマイナス水準に転じたほか、卸売業が▲24.5(前期▲4.1)、飲食業が▲38.8(前期▲33.3)、交通運輸業が▲41.7(前期▲7.1)、その他の業種が▲22.2(前期▲16.7)と悪化している状況である。
売上・利益状況
売上状況については「増加・やや増加」との回答が23.8%(前期30.7%)、「変わらない」が37.3%(前期35.5%)、「減少・やや減少」が38.8%(前期33.6%)で売上状況DI値は▲15.0(前期▲2.9)となり、前期調査と比べると12.1ポイントの悪化となった。
利益状況については「増加・やや増加」との回答が21.1%(前期24.6%)、「変わらない」が39.4%(前期39.7%)、「減少・やや減少」が39.4%(前期35.7%)で利益状況DI値は▲18.3(前期▲11.1)となり、前期調査と比べると7.2ポイントの悪化となった。
今回の調査では売上、利益状況ともに悪化傾向となった。
資金繰り・設備投資の現状
資金繰りの現状についてはDI値をみると▲10.5であり、前回の▲0.9から9.6ポイント悪化している。また、資金繰りの見通しについてのDI値は▲9.4であり、現状より改善する見通しである。
設備投資の実績については「行なった」が20.3%、「行なっていない」が76.9%となっている。また、今後の設備投資については「予定あり」が19.8%、「予定なし」が71.9%となっている。
経営上困っている問題(3項目選択)
経営上困っている問題については、「売上・受注の停滞減少」が35.9%(前期34.7%)、「人手不足」が35.7%(前期38.0%)と、引き続き上位を占め、第3位に「競争激化」23.3%(前期20.6%)、第4位に「人材育成」23.1%(前期25.6%)と続いている。
業種別に見ても、「売上・受注の停滞減少」と「人手不足」の何れかが第1位となっており、業況が唯一プラス水準を維持した「製造業」においても、「売上・受注の停滞減少」と「人手不足」が同率で第1位の結果となっている。
全体で第3位の課題となった「競争激化」は、「卸売業」で39.0%(前期28.6%)、「小売業」で38.4%(前期29.5%)と大幅に上昇するなど、非製造業全般で上昇傾向となっている。
総評
景気の現状を示すDI値は悪化傾向を示し、3期ぶりに悪化する結果となった。業種別の現状や売上・利益状況などからも全体的に悪化傾向が続いている。当地においては新規参入などの競争激化により売上が頭打ちになっていることが影響していると考えられる。
そのため、景気の先行きに関しては、現状のDI値と比較して3.8ポイントの業況悪化を見通しているほか、売上見通しについても▲16.3%(前期▲7.9%)と悪化を見込むなど、今後の業況見通しについても厳しく見ているものと考えられる。
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